オーダーメイドをお仕事に

服のオーダーメイドをわかりやすく説明します

オーダーメイドシャツのデザインの基本【タック】

毎日1記事、オーダーメイド服について投稿します。

f:id:made2order:20210227145206j:plain

今回の記事はシャツデザインの【タック】についてです。

タック とは?

【タック】とは、ひだを寄せて片側を固定することで部分的に絞ったり、縫いつぶさないことでゆるみを与えたりすることのできる技法です。

メンズシャツでは【袖口のタック】【肩甲骨のタック(アクションプリーツ)】【背中心のタック(ボックスタック)】などが良く使われます。

レディースではこれに加えて、【前肩のタック】などもよく使います。

ゆるみが必要ないときもある?

タックのメリットはゆるみを加減できることにあります。
ただし、オーダーメイドに限った場合で言うと、あまり必要ない場合もあります。

オーダーメイドは体に合わせてゆとり分量を合わせます。
身体の動きを妨げにくく、過度なゆとりは必要ない場合が多いです。
そのため、肩甲骨付近の背タックやボックスタックはデザイン上の意味しか持たず、「動きやすくなるんです!」というワードは嘘になってしまうこともあります。
注意してください。

タックはどの様な時に必要?

タックが必要な時はゆるみ分量を増やしたいときというよりも、【立体的にしたいときに使う】イメージです。

背中の凹凸はタックを使うまでもないため重要ではないです。

肘は、普段はそこまで太くないですが、曲がる時には丸みをおびて太くなります。
そのため、必要な時にだけ開くタックが求められます。

バストに向かう前肩のタックは、ダーツやギャザーなどでも問題はないです。
ダーツの場合は、お客様の体型に完全に合わせる必要があります。
ギャザーの場合は、分量を等分散させなくてはいけません。
タックの場合は、簡単にお客様の体型に合わせやすいです。
これらのことから、タックやギャザーが多く使われています。

縫い目を増やさずに、バイアス方向を使わずに、簡単に体の曲線に沿わせたいときにタックが有用です。

まとめ

【タック】とは、【ひだを寄せて片側を固定することで部分的に絞ったり、縫いつぶさないことでゆるみを与えたりすることのできる技法】です。
ただし、オーダーメイドでは不要なことも多いため、不用意に「動きやすくてオススメです」などとは言わないようにしてください。

オーダーメイド服の体型補正の基本【前後同寸】

毎日1記事、オーダーメイド服について投稿します。

f:id:made2order:20210226142421j:plain

今回の記事は【前後同寸】の指定です。

前後同寸 とは?

前後同寸とは、服の前パーツと後パーツの仕上がり寸法を一緒にするという指示です。

一般的な布帛で作られた服は、前が狭く後が広いことが多いです。
鳩胸や反身体などにより前面の幅が広い人は、前側の幅を広くすることがあります。
この際に、【前側広く】【前後同寸】などの指示を出します。

ちなみにTシャツなどのカットソーで作られた服は、元から前後同寸であることがほとんどです。
これは、体型にぴったりフィットさせずに着ることと、伸びにより動きを妨げないことから、体型に完全に沿わせずに縫いやすさを重視することからこの形状に落ち着くことが多いです。

どこが前後同寸?

前後同寸にも、企業ごとに様々な指示があります。
代表的なものは以下の3つです。

  • 【胸回り前後同寸】胸回りを前後同寸にして、あとはそのバランスに合わせる
  • 【腹回り前後同寸】腹回りを前後同寸にして、あとはそのバランスに合わせる
  • 【身頃前後同寸】胸・腹・裾のすべてが前後同寸

一番多い指示で、意味合いとしても適切なものは【胸回り前後同寸】です。
着心地に関わるのが首・肩であることと、服の幅の基本が胸で設定されていることから、胸回りを重視することが多いです。

残る2つの指示は、問題がおきやすいので使用を控えた方が良いと思います。

まず腹回り前後同寸ですが、ダーツの有無によって前面の幅が変わります。
背面デザインがボックスタックのものと背ダーツのものでは、寸法に大きな差が出ます。
もしこの2点を同時に受注した場合、着心地が大きく違う2点に仕上がる可能性があります。
事前告知をしなければクレーム対象になるため、クレームに繋がる指示は避けた方が良いでしょう。

次に身頃のすべてを前後同寸にするものですが、胸・腹・裾のすべての前後バランスが違うため修正箇所が多いためバランスが崩れます。
元々平べったいパターンにするのであれば問題はないのですが、立体的なパターンを平べったくするメリットが見当たらないため、数値上分かりやすいというだけの実用的でない指示です。

まとめ

【前後同寸】とは、【服の前パーツと後パーツの仕上がり寸法を一緒にするという体型補正指示】です。

バランスを崩してねじれを発生させないためにも、胸回りの前後バランスに対して指示をしましょう。

オーダーメイド服の基本用語【大寸】

毎日1記事、オーダーメイド服について投稿します。

f:id:made2order:20210225181332j:plain

今回の記事は【大寸】です。

大寸とは?

大寸とは、身体の大きな人のオーダーである事を示す言葉です。

企業の定める基準を超えるオーダーの場合、この注意表記を行います。

略称のため、読み方が明確に定められているわけではないですが「だいすん」と読むのが正しいとされています。

だいすん?おおすん?

オーダーメイドの現場では「おおすん」と読む人も一定数います。
「だいすん」以外の読み方があると思ってもみなかったため、初めて聞いた時には一瞬理解が遅れました。

大寸は「だいすん」と読むのが正しいとされています。
「特大寸法のお客様用の服」→「だいすんのお客様用の服」
上記のように生まれたと推測されます。
【特大寸法】から発生した言葉だった場合は、すべてが音読みで一般的な音のつながりといえます。

逆に「おおすん」に至る例を考えてみると、
「大きな寸法のお客様用の服」→「おおすんのお客様用の服」
上記のような流れが浮かびます。
【大きな寸法】から「おおすん」という言葉を作ると、訓読み+音読みで湯桶読み(ゆとうよみ)という組み合わせになってしまいます。
間違っているわけではないのですが、音訓を混ぜない方が適切と言えます。
(逆の訓+音は、重箱読み・じゅうばこよみ)

またこの場合、「大きな寸法のお客様用の服」というよりは「寸法の大きなお客様用の服」と言った方が言葉のつながりが適切なため、順序が逆転してしまいます。

これらのことからも【大寸・だいすん】の読み方が適切と言えます。

店によって違う大寸

百貨店と工場直営店のお店では、基準が違うことが多々あります。
今回の【大寸】についても同様です。

百貨店では、不快感を与えずに一律に良いサービスを提供する体制で営業しています。
「あなたの寸法は一般より大きいですよ」という意味の大寸で追加料金を取ってしまうと、お客様によっては気分を害されてしまいます。
そのため、言われていないだけで大寸の基準に入っている可能性はあります。
また、サービス料の中に【もし大寸だった場合の追加料金】も含めて値段設定をしています。

一方の工場直営店では、適宜必要な費用を頂く体制で営業しています。
すべての人に対して一律で料金を上げるのではなく、【大寸】のお客様にだけ費用を負担してもらうようにしています。
そのため、【大寸だった場合の追加料金】をその都度もらわなくてはならないため、百貨店や銀座のテーラーなどでは大寸と言われたことがなくても、大寸と言われることがあります。

どちらが正しいというものではなく、サービスの在り方の違いだと思ってください。

大寸で工賃が上がる?

大寸の場合、使う生地の量が増えるため資材代が上がるのは理解していただけると思います。
ただし、場合によっては工賃が上がることもあります。

寸法が大きな場合、通常よりも生地が大きいためミシン台を大きくはみ出します。
また、蹴回しなどの裾部分が広いばあいは大きく回転させながら縫わなくてはいけません。
そのため、手間がかかります。
また、汚れ等のリスクも増大するため、工場によっては工賃が上がることがあります。

資材代・工賃が上がるため、企業ごとに値上がりの幅が変わっているのです。

まとめ

大寸とは、身体の大きな人のオーダーである事を示す言葉です。

大きな服を作るには、生地量だけではなく手間やリスクも増大するため追加料金が発生しますのでご理解ください。

オーダーメイド服の体型補正の基本【鎖骨】

毎日1記事、オーダーメイド服について投稿します。

f:id:made2order:20210224182021j:plain

今回の記事は【鎖骨】の指定です。

鎖骨補正 とは?

鎖骨補正とは、シャツの羽衿の縁などが鎖骨に当たることを防ぐためにパターンをくる作業です。

男性用のオーダーメイドシャツの衿パターンは、鎖骨周辺をあまりくらずに肉厚なデザインにしていることが多いです。
これは、直線的な方が綺麗に縫いやすいという都合もありますが、くってしまうと剣先が細くなり頼りなく見えるという理由から、男性用のオーダーメイドシャツではしっかりと面積を残したパターンを使用します。

このパターンを作成する際の体型は、鎖骨があまり目立たない人を前提として作っているため、鎖骨が突出している人には羽衿が当たりが強くて痛くなるということで、鎖骨周辺を少しだけくります。

この突出度合いに関してですが、やや肉に埋もれている人を標準としていることが多いため、鎖骨がしっかりと出た健康的な標準体の人も、鎖骨突出と言われてしまうことがあります。
型紙に対しての事なので、「鎖骨出過ぎなのか?」などとあまり気にしないでください。

なお、女性用のオーダーメイドシャツの衿パターンは、剣先をくった曲線的な出材や、羽衿が寝ているようなフラット目なデザインが多いため、鎖骨の突出具合の基準が違います。

鎖骨補正で剣先が落ち着く?

鎖骨が突出している人の場合、剣先が浮いてしまいがちです。
これは、本来想定していなかった場所に骨があるため、自然に下りていかないことが問題です。

鎖骨補正を行うと、邪魔をしている部分を迂回するような形になるため、自然に下りて剣先が落ち着きます。

鎖骨補正を行わないと、見た目が悪く、身体にも優しくないシャツができあがる可能性があります。
そのため、クレーム対象になることも少なくないです。

鎖骨補正で変な隙間が生まれる?

鎖骨補正の必要がない人に補正を行ってしまうと、鎖骨周辺の身と衿の間に妙な隙間ができてしまいます。
これは過度に補正されたことで接点間が浮いている状態で、体型に合っていないことが分かってしまいます。

そのため、迷ったらなんでもかんでも適用するのではなく、基準で一度試してもらってください。

まとめ

鎖骨補正とは、シャツの羽衿の縁などが鎖骨に当たることを防ぐためにパターンをくる作業です。

 男女のパターン または 企業ごとのパターンによって基準が違うため、まずは基準の確認から行いましょう。

迷う体型の際は一度基準の型紙で作成したうえで、次回以降の補正を検討してもらってください。

オーダーメイド服の体型補正の基本【出腹】

毎日1記事、オーダーメイド服について投稿します。

f:id:made2order:20210223213452j:plain

今回の記事は【出腹】の指定です。

出腹 とは?

【出腹】補正とは、出っ張った腹の分だけ前側に分量移動する補正です。

寸法を大きくするのではなく、背中の分量をおなかに移動します。

ただしこの補正は、よっぽど突出していない限りは適用しません。
複合した体型補正指示を出した場合、バランスが崩れて不格好になりやすいからです。

太っていたら出腹補正?

太っていたら出腹補正をするのか?と聞かれますが違います。
文字通り腹が出ていたら補正をします。
そのため、細い人でも腹筋が極端に弱くて腹が出ていたら、補正をする可能性があります。

全体的に大柄の方や、腰回りにのみ浮き輪上に付いている人たちは、この補正対象には該当しません。

腹回りの寸法による判断ではなく、あくまでも腹が出ているかどうかの形状で判断してください。

妊婦には出腹補正?

正確には一緒ではないですが、ほぼ同じ補正を適用させることがあります。
元々痩せていた人でも懐妊中はおなかが前に出ます。
そのため、出腹補正に似た補正を行います。

似た?と思う方も多いと思いますが、若干違うため "似た" という表現をとっています。

妊婦の場合は、出産しても背中の肉付きはあまり変わりません。
そのためシャツワンピースのオーダーなどの場合は、出産後にリメイクができるように通常の体型を想定して型紙を作り、前側に現在の突出分を出すという形をとります。

リメイクを前提としたオーダーの前に、女性用のオーダーメイドを取り扱うこと自体が少ないですが、その分細やかな心配りが必要なのだとも感じます。

まとめ

【出腹】補正とは、【出っ張った腹の分だけ前側に分量移動する体型補正】で、太っているからといってみんなに補正するものではないです。

着心地は良くなりますが、バランスの崩れにより腹の出っ張りが顕著に見える恐れがあるため、可能であれば痩せましょう。(または腹筋を付けましょう)

 妊婦用の補正も出腹補正と似ていますが、考え方がやや違います。

オーダーメイド服の体型補正の基本【袖山の高さ】

毎日1記事、オーダーメイド服について投稿します。

f:id:made2order:20210222221757j:plain

今回の記事は【袖山の高さ】の寸法指定です。
この指定はルールを理解していないと大問題に発展するため、店舗によっては扱わないことも多いです。

袖山の高さ とは?

【袖山の高さ】の寸法指定とは、袖の釡底から肩先までの高さを指定するものです。

袖の釡底同士をから水平に線を引き、その線に対して肩先から垂直に線をおろした距離が袖山の高さです。

【袖山の高さが高い】と、袖をおろした立ち姿勢が綺麗に見せるための袖になります。
また袖が細くなるため、上腕や前腕を指定しないで腕を細くすることができます。
ただし高すぎると腕が上がりにくくなるので注意が必要です。
若者向けのブランドは、袖山を高めにすることがやや多いです。

【袖山の高さが低い】と、袖の運動量が増えて腕を上げやすくなります。
袖幅が広がり運動量が増える反面、袖を下した際に "だき" と呼ばれる余分な運動量のたまりが目立ちます。
古いオーダーメイドやブランドには袖山を低めの型紙が多いため、年長者向けのブランドは袖山を低めが多いです。

袖山の設定は厄介

シャツでもスーツでも、首・肩の補正で着心地の良し悪しが決まるため細心の注意が必要です。

袖山の高さを寸法指定すれば、スッキリとした見た目にしたり、腕を細くすることができます。
ただし、寸法指定を失敗すると大問題になります。

もし袖山の高さを指定したいのであれば、以下の点を確認してください。

  1. そもそも工場では袖山の指定を受けている?
  2. 現在の袖山の高さは、袖ぐり寸法の何%?
  3. 袖山を高く・低くとだけ指示した場合は、何%分変化する?
  4. 指定可能は袖山の高さは、袖ぐり寸法の何%?

%で書きましたが、実数での指定の工場もあります。
今使っている型紙の状況と補正方法を確認することで、どのように補正すれば良いかが見えてきます。

袖山を変形させるのは良くない?

袖山の指定範囲は、袖山形状を大きく変形させないために規定を設けています。
体型補正では多くの数値を同時に変更するため、バランスが崩れやすいです。
そのため、重量バランスの要である衿ぐりと、挙動の良し悪しが出やすい袖ぐりへの過度の変更は控えさせています。

それでもガッツリ指定したい人はいます。
そのために、あらかじめ多段階の袖や衿を用意しているブランドもあります。

まとめ

【袖山の高さ】の寸法指定とは、【袖の釡底から肩先までの高さを指定する体型補正】です。
過度な指定はバランスを崩しやすいため、補正内容が理解できない人は指定自体を避けてください。

適切な補正を行うには避けては通れませんが、事故を防ぐのであれば補正の存在自体を隠してしまうのもひとつの手段です。

オーダーメイド服の体型補正の基本【上腕・肘・前腕】

毎日1記事、オーダーメイド服について投稿します。

f:id:made2order:20210221162056j:plain

今回の記事は【上腕・肘・前腕】の寸法指定です。

腕の寸法指定 とは?

【上腕囲】【肘囲】【前腕囲】の寸法指定とは、名称に該当する部位の周径を指定することです。

オーダーメイド服の元型が古いことにより、ゆとりが多く余りがちです。
そのため見栄えを重視する人は、寸法指定をしてぴったり目にフィットさせます。

多少の補正であれば問題ないですが、ガッツリと補足するとバランスが崩れて着心地が悪くなります。
そのためとても細い袖にしたい場合は、細腕専用の型紙から補正した方が良いです。
(ただし古いオーダーメイド企業では、細腕専用の型紙を作っていないことがほとんどです)

上腕・中腕・下腕 ではないの?

古いオーダーメイド企業では、上腕・中腕・下腕と呼びます。
上腕のみ有名で誰もが知っていますが、その他の言葉には馴染みがなかったことから、「上にあるのが上腕なら上中下だろう。そうすれば分かりやすい。」という考えから作られた言葉と推測されます。

ただしこれは、オーダーメイド業界のみの言葉で、一般にもアパレルにもどちらにも通用しない言葉です。
特に下腕という言葉を使うと、無知をさらしていることにもなりかねません。
そのため【上腕】【肘】【前腕】と呼び、造語は使用しない方が良いです。

※ オーダーメイドも和製英語で、正しくは made to orderと言います。

自然に腕を細くするには?

部位を特定して寸法指定をすると、バランスが崩れやすく不格好な商品ができあがることがあります。
そのため、この指定方法は多用しない方が良いです。

自然と腕を細くするには、腕の上下を補正します。

上端で補正するのは、袖山の高さです。
腕の動かしやすさに関係する部位で、袖山が高くなると腕が細くなる反面、腕が上に上がりにくくなります。

下端で調整するのは、カフス丈とタック分量です。
カフスとの付け寸法を縮めることで手首回りが細くなりますし、タック本数を減らすことで前腕付近への運動量が抑えられます。

この上下の補正をしたうえで更に補正をしたい場合に限り、【上腕囲】【肘囲】【前腕囲】の寸法指定をします。

まとめ

【上腕囲】【肘囲】【前腕囲】の寸法指定とは、【名称に該当する部位の周径を指定することで見た目に関する体型補正】です。
過度な指定はバランスを崩しやすいです。

必要に迫られた時のみ、指定をしましょう。